英国の時計メーカーJ.W.ベンソンの手がけた貴重な初期の腕時計をご紹介致します。懐中時計に革ベルトを装着するためのワイヤーラグを取り付けただけようなのクラシックな作りが特徴。新品当時からのものと思われるオリジナルボックスが付属している点も見逃せません。

重厚感のあるケースは925シルバー。完全な非防水とは異なり、ベゼルと裏蓋がそれぞれねじ込み式にする事で気密性を高め、水気や埃の内部への侵入を防ぐような作りになっていて、初期の腕時計としては工夫されている点がポイントです。雰囲気たっぷりのポーセリンダイアルは4時から5時の位置にかけて、さらに7時から8時にかけての外周にひび割れがあり、この点に関しては大変惜しいのですが、それを除けば全体的に十分なコンディションではないでしょうか。

クラシックな作りのムーヴメントはイングリッシュレバーと呼ばれる脱進機が組み込まれたもの。天輪周辺を除くとムーヴメント全体をブリッジで覆う構造になっており、古き良き時代の機械式時計らしい風情が漂う粒金仕上げになっている点が特徴です。全体的にダメージは少なく、製造年代を考えれば奇跡的と言っても良い状態だと思われます。いわゆるダボ押し仕様のため、ケースの4時位置にある小さなボタンを押しながらリュウズを回転させる事で時刻合わせを行います。別注製作したリザードの革ベルトを装着しています。これぞアンティークウォッチといった一本。