英国の時計メーカーJ.W.ベンソンのポケットウォッチをご紹介致します。腕時計の時代になるとスイス製のムーヴメントを採用するようになりますが、この年代はイギリス国内で製造されていました。重厚なケースと太いローマ数字のインデックスが特徴の文字盤。貴重なオリジナルボックスが付属している点がポイントです。

いわゆるオープンフェイスの懐中時計で、厚みのあるケースは925シルバー。厚みはおよそ15.8mmで重さは155ｇです。細かな傷はありますが、目立つような打ち傷等はなく、全体的に状態良好です。存在感あふれるポーセリンダイアルは光の当たり具合によって多少傷みが分かりますが、こちらも十分なコンディションかと思います。短針の先端部分にダメージがあり、その点は少々残念ですが、製造年代を考えると総合的には大変良いコンディションだと言えそうです。

クラシックな作りのムーヴメントはイングリッシュレバーと呼ばれる脱進機が組み込まれたものです。ムーヴメント全体をブリッジで覆う設計ですが、粒金仕上げになっている点なども含め、雰囲気たっぷりです。後に主流となるアンクル式のムーヴメントと比較するとカチカチと鳴る音がとても大きいのですが、それもこういった古い懐中時計が持つ味のひとつ。時刻合わせはいわゆるダボ押しのため、ケースの12時と1時位置の間にある小さなボタンを押しながらリュウズを回転させます。今から100年近く前の懐中時計。実に興味深い一本です。