スイスの歴史あるブランドのひとつ「ジラール・ペルゴ」による珍しい仕様の防水型モデルをご紹介致します。防水ケースの腕時計がまだ主流ではなかった時代にロレックスのオイスターケースとは異なるアプローチで作り上げたのがこのモデルだと言えそうです。懐中時計が当たり前だった19世紀にいち早く軍用として腕時計を製造した事でも知られるジラール・ペルゴにとってこのような時計を手がける事は自然の流れだったのかも知れません。ちなみにこの"AMPHIBIAN"というペットネーム、日本語では「両生類」や「水陸両用車」を意味します。

このモデルの最大の特徴はこのケース。いわゆる裏蓋に当たるパーツがなく、本体が鍋のようになっていてムーヴメントがすっぽり入る仕組みになっています。ジョイント式のリュウズや風防を取り付け、さらにベルトが付く本来ケースにあたる部分を正面から被せるような構造です。裏蓋をなくし、さらに厚みのある重厚なケースで風防側の気密性もしっかりと確保する事で防水性能を高めています。ケースに"BREVET"の刻印があり、恐らくこういった構造のケースの元祖ではないかと思います。

ブレゲ数字の夜光インデックスというなかなか珍しいデザインの文字盤も特徴。しかも24時間表記にもなっており、大変ユニークです。スワローハンドと赤くペイントされた秒針との組み合わせで、小ぶりなのに存在感たっぷりのルックスではないでしょうか。本中三針のムーヴメントはしっかりとしたケースのおかげで大変.状態は良好。なかなかのレアモデルながら、オリジナルコンディションを保ったかなりの美品だと言えそうです。