現存数が少ないと言われるドイツの軍用時計の中で、このゼニスが手掛けたものも希少性が高いモデルのひとつです。防水型のスクリュウバックケースで夜光の全数字が採用された黒文字盤という仕様は他のほとんどメーカーと共通した軍用時計らしい特徴。当時はメッキケースが多く、どちらかと言えばSSケースは高級仕様なので、もしかするとこのゼニスは士官向けのモデルだったのかも知れません。

本商品は全体的に大変コンディションが良く、オリジナルの光沢のある仕上げの文字盤は大きなダメージもなく、美しい状態を保っています。数字の夜光部分にはそれなりの劣化が見られますが、製造年代や軍用時計であることを考慮すれば十分過ぎるほどではないでしょうか。搭載されるムーヴメントは粒金仕上げになったタイプで、古いゼニスらしいクラシックな雰囲気が特徴。もちろん、こちらも状態良好です。

本来ケース内にはムーヴメントをより保護するためのインナーキャップが備わっているのですが、残念ながら本商品にはそれが揃っていません。状態の良さを考えると不思議なのですが、どこかで紛失してしまったのでしょう。また、ベルトの取付部分は固定式のバーになっているはずなのですが、バネ棒が取り付けられるように変更されています。完全なオリジナル状態ではないと言えますが、その分価格を抑えましたし、前述のように良好なコンディションを保っている点を考えれば、なかなか魅力的な一本だと思います。整備済みで、精度もかなり期待出来ます。