Maintenance Report #1
2010.10.05
ロレックス・オイスターパーペチュアル・デイトジャストの整備についてレポート致します。ご相談下さったお客様によるとこの時計は亡くなったお父様の持ち物だったとの事で、いわば大事な形見の品だというお話でした。かなり長期間放置したままだったようですが、せっかくのロレックスですし、きちんと整備して使ってみたくなったそうです。そこで、当店へご持参いただき、オーバーホールの作業を進めさせていただく事になりました。
デイトジャストの中でもこのRef.1601は現在でも最もポピュラーなモデルのひとつ。現状でも何となく動いてはいるものの、ムーヴメントの調子はあまり良くなさそうです。しかし、何より外装パーツが汚い。風防は傷だらけだし、ケースやブレスレットもだいぶ汚れてしまっています。
ブレスレットを外すとこんなにもゴミが溜まっています。こういった汚れが激しいと腐食を招いたりする事も少なくありません。こういう場合、まずは爪楊枝を使ってある程度キレイにしてから、さらに超音波洗浄でより美しい状態にします。
ブレスレットのクラスプなんかも酷いですねぇ。放置されていた年月を感じさせます。コマとコマの間はモザイクをかけた方が良いくらいの汚れでした。これはちょっと触りたくないくらいの汚れ具合です。(失礼!)ちなみに日頃からまめに拭くだけでこういう状態になる事は避けられます。
ケースからムーヴメントを取り出してみるとグレーの文字盤はかなりキレイなのがよく分かります。風防に激しく傷がついていると文字盤もよく見えないものです。
自動巻きの巻上機構のユニットを外すとあちこちだいぶ汚れているのが分かります。これではしっかりと巻き上がらなかったかと思われます。
大体バラバラに分解した状態です。酷い汚れは爪楊枝を使い、さらに刷毛洗いでキレイにしてから超音波洗浄します。
ある程度組み立てた状態。ローター周りがない状態だとただの手巻き時計のような感じです。パーツ全体が美しく輝いているのがよく分かります。